第四章 航空従事者 (第二十二条から第三十六条) |
(航空従事者技能証明) |
第二十二条 運輸大臣は、申請により、航空業務を行おうとする者について、航空従事者技能証明(以下「技能証明」という。)を行う。 |
(技能証明書) |
第二十三条 技能証明は、申請者に航空従事者技能証明書(以下「技能証明書」という。)を交付することによつて行う。 |
(資格) |
第二十四条 技能証明は、次に掲げる資格別に行う。
定期運送用操縦士 事業用操縦士 自家用操縦士 一等航空士 二等航空士 航空機関士 航空通信士 一等航空整備士 二等航空整備士 三等航空整備士 航空工場整備士 |
(技能証明の限定) |
第二十五条 運輸大臣は、前条の定期運送用操縦士、事業用操縦士、自家用操縦士、
航空機関士、一等航空整備士、二等航空整備士又は三等航空整備士の資格について
の技能証明につき、運輸省令で定めるところにより、航空機の種類についての限定
をするものとする。
2 運輸大臣は、前項の技能証明につき、運輸省令で定めるところにより、航空機の 等級又は型式についての限定をすることができる。 3 運輸大臣は、前条の航空工場整備士の資格についての技能証明につき、運輸省令 で定めるところにより、従事することができる業務の種類についての限定をするこ とができる。 |
(技能証明の要件) |
第二十六条 技能証明は、第二十四条に掲げる資格別及び前条第一項の規定による航
空機の種類別に運輸省令で定める年齢及び飛行経歴その他の経歴を有する者でなけ
れば、受けることができない。
2 航空通信士の資格について技能証明は、前項の規定によるほか、運輸省令で定め る電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第四十条第一項の無線従事者の資格に ついて同法第四十一条第一項の免許を受けた者でなければ、受けることができない。 |
(欠格事由等) |
第二十七条 第三十条の規定により技能証明の取消しを受け、その取消しの日から二
年を経過しない者は、技能証明の申請をすることができない。
2 運輸大臣は、第二十九条第一項の試験に関し、不正の行為があつた者について、 二年以内の期間に限り技能証明の申請を受理しないことができる。 |
(業務範囲) |
第二十八条 別表の資格の欄に掲げる資格の技能証明(航空機に乗り組んでその運航
を行う者にあつては、同表の資格の欄に掲げる資格の技能証明及び第三十一条第一
項の航空身体検査証明)を有する者でなければ、同表の業務範囲の欄に掲げる行為
を行つてはならない。ただし、定期運送用操縦士、事業用操縦士、自家用操縦士、
一等航空士、二等航空士若しくは航空機関士の資格の技能証明を有する者が受信の
みを目的とする無線設備の操作を行う場合又はこれらの技能証明を有する者で電波法第四十条第一項の無線従事者の資格を有するものが、同条第二項の規定に基づき
行うことができる無線設備の操作を行なう場合は、この限りでない。
2 技能証明につき第二十五条の限定をされた航空従事者は、その限定をされた種類、 等級若しくは型式の航空機又は業務の種類についてでなければ、別表の業務範囲の 欄に掲げる行為を行つてはならない。 3 前二項の規定は運輸省令で定める航空機に乗り組んでその操縦(航空機に乗り組 んで行うその機体及び発動機の取扱を含む。)を行う者及び運輸大臣の許可を受け て、試験飛行等のため新しい種類、等級又は型式の航空機に乗り組んでその運航を 行う者については、適用しない。 |
(試験の実施) |
第二十九条 運輸大臣は、技能証明を行う場合には、申請者が、その申請に係る資格
の技能証明を有する航空従事者として航空業務に従事するのに必要な知識及び能力
を有するかどうかを判定するために、試験を行わなければならない。
2 試験は、学科試験及び実地試験とする。 3 学科試験に合格した者でなければ、実地試験を受けるとこができない。 4 運輸大臣は、外国政府の授与した航空業務の技能に係る資格証書を有する者につ いて技能証明を行う場合には、前三項の規定にかかわらず、運輸省令で定めるとこ ろにより、試験の全部又は一部を行わないことができる。運輸省設置法(昭和二十 四年法律第百五十七号)第三条の二第一項第百六十八号の政令で定める文教研修施 設のうち航空に関する専門の学科及び技能の教授による航空従事者の養成を行う施 設又は運輸大臣が申請により指定した航空従事者の養成施設の課程を修了した者に ついても、同様とする。 |
(技能証明の限定の変更) |
第二十九条の二 運輸大臣は、第二十五条第二項又は第三項の限定に係る技能証明に
つき、その技能証明に係る航空従事者の申請により、その限定を変更することがで
きる。
2 前条の規定は、前項の限定の変更を行う場合に準用する。 |
(技能証明の取消等) |
第三十条 運輸大臣は航空従事者が左の各号の一に該当するときは、その技能証明を
取り消し、又は一年以内の期間を定めて航空業務の停止を命ずることができる。
一 この法律又はこの法律に基く処分に違反したとき。 二 航空従事者としての職務を行うに当り、非行又は重大な過失があつたとき。 |
(航空身体検査証明) |
第三十一条 運輸大臣又は指定航空身体検査医(申請により運輸大臣が指定した運輸
省令で定める要件を備える医師をいう。以下同じ。)は、申請により、技能証明を
有する者で航空機に乗り組んでその運航を行なおうとするものについて、航空身体
検査証明を行なう。
2 航空身体検査証明は、申請者に航空身体検査証明書を交付することによつて行な う。 3 運輸大臣又は指定航空身体検査医は、第一項の申請があつた場合において、申請 者がその有する技能証明の資格に係る運輸省令で定める身体検査基準に適合すると 認めるときは、航空身体検査証明をしなければならない。 |
第三十二条 削除 |
第三十三条 航空身体検査証明の有効期間は、定期運送用操縦士の資格を有する者に あつては六月、その他の者にあつては一年とする。 |
(計器飛行証明及び操縦教育証明) |
第三十四条 定期運送用操縦士の資格についての技能証明(当該技能証明について限
定をされた航空機の種類が運輸省令で定める航空機の種類であるものに限る。第三
十五条の二第一項において同じ。)又は事業用操縦士若しくは自家用操縦士の資格
についての技能証明を有する者は、その使用する航空機の種類に係る次に掲げる飛
行(以下「計器飛行等」という。)の技能について運輸大臣の行う計器飛行証明を
受けていなければ、計器飛行等を行つてはならない。
一 計器飛行 二 計器飛行以外の航空機の位置及び針路の測定を計器にのみ依存して行う飛行( 以下「計器航法による飛行」という。)で運輸省令で定める距離又は時間を超えて行うもの 三 計器飛行方式による飛行 2 次に掲げる操縦の練習を行う者に対しては、その使用する航空機を操縦すること ができる技能証明及び航空身体検査証明を有し、かつ、当該航空機の種類に係る操 縦の教育の技能について運輸大臣の行う操縦教育証明を受けている者(以下「操縦 教員」という。)でなければ、操縦の教育を行つてはならない。 一 定期運送用操縦士、事業用操縦士又は自家用操縦士の資格についての技能証明 (以下「操縦技能証明」という。)を受けていない者が航空機(第二十八条第三 項の運輸省令で定める航空機を除く。次号において同じ。)に乗り組んで行う操縦の練習 二 操縦技能証明及び航空身体検査証明を有する者が当該技能証明について限定を された種類以外の種類の航空機に乗り組んで行う操縦の練習 3 第二十六条第一項、第二十七条、第二十九条及び第三十条の規定は、前二項の計 器飛行証明又は操縦教育証明について、準用する。 |
(航空機の操縦練習) |
第三十五条 第二十八条第一項及び第二項の規定は、左に掲げる操縦の練習のために
行なう操縦については、適用しない。
一 前条第二項第一号に掲げる操縦の練習で、当該練習について運輸大臣の許可を 受け、かつ、操縦教員の監督の下に行なうもの 二 前条第二項第二号に掲げる操縦の練習で、操縦教員の監督の下に行なうもの 三 操縦技能証明及び航空身体検査証明を有する者が当該技能証明について限定を された種類の航空機のうち当該技能証明について限定をされた等級又は型式以外 の等級又は型式のものに乗り組んで行なう操縦の練習で、当該航空機を操縦する ことができる技能証明及び航空身体検査証明を有する者の監督(当該航空機を操 縦することができる技能証明を有する者の監督を受けることが困難な場合にあつ ては、当該航空機を操縦することができる知識及び能力を有すると認めて運輸大 臣が指定した者の監督)の下に行なうもの 2 前項各号の操縦の練習の監督を行なう者は、当該練習の監督を運輸省令で定める ところにより行なわなければならない。 3 運輸大臣は、第一項第一号の許可の申請があつた場合において、申請者が、航空 機の操縦の練習を行うのに必要な能力を有すると認めるときは、これを許可しなけ ればならない。 4 第一項第一号の許可は、申請者に航空機操縦練習許可書を交付することによつて行う。 5 第三十条及び第六十七条第一項の規定は、第一項第一号の許可を受けた者に準用する。 |
(計器飛行等の練習) |
第三十五条の二 第三十四条第一項の規定は、定期運送用操縦士の資格についての技 能証明又は事業用操縦士若しくは自家用操縦士の資格についての技能証明及び航空 身体検査証明を有する者でその使用する航空機の種類について計器飛行証明を受け ていないものが計器飛行等の練習のために行う飛行で、次に掲げる者の監督の下に 行うものについては、適用しない。 一 当該航空機を操縦することができる技能証明及び航空身体検査証明を有し、か つ、当該技能証明が定期運送用操縦士の資格についての技能証明又は事業用操縦 士若しくは自家用操縦士の資格についての技能証明である場合は当該航空機の種 類について計器飛行証明を有する者 二 地上物標を利用して航空機の位置及び針路を知ることができる場合において計 器飛行又は計器航法による飛行の練習を行うときは、当該航空機を操縦すること ができる技能証明及び航空身体検査証明を有する者 三 当該航空機を操縦することができる技能証明を有する者の監督を受けることが 困難な場合は、当該航空機を使用して計器飛行等を行うことができる知識及び能 力を有すると認めて運輸大臣が指定した者 2 前条第二項の規定は、計器飛行等の練習の監督を行なう者について準用する。 |
(命令への委任) |
第三十六条 技能証明書、航空身体検査証明書及び航空機操縦練習許可書の様式、交 付、再交付及び返納に関する事項その他技能証明、航空身体検査証明、計器飛行証 明、操縦教育証明、第三十五条第一項第一号の許可並びに同項第三号及び前条第一 項第三号の指定に関する細目的事項、第二十九条第一項の試験の科目、受験手続そ の他の試験に関する実施細目並びに航空従事者の養成施設の指定に関する実施細目 は、運輸省令で定める。 |